私がブルーにそまるとき
懐かし目の曲を続けます。
本投稿に際し聴き直してみて、急遽作譜することに。ですが、イントロでいきなり難関が。リタルダンド! どうするのか。と、作譜ソフトの取説を調べると、「ラレンタンド」として設定可能のようです。多分これがリタルダンドのことだろうと。指示通りやってみると‥‥見事に再現されました。少しブレーキの効き始めが遅い気もするが、こんな芸の細かいことまでできるとは‥‥。因みに、リタルダンドとラレンタンドは、次第にテンポを遅くするという指示では同じですが、前者は受動的・機械的に、後者は能動的・意志的に、という違いがあるようです。そこまで求めるのは無理‥‥。
1977年1月、作詞:阿久悠、作曲:大野克夫、唄は林寛子です。手元収録CDは、「スーパーベスト」。作譜は、変ホ長調、BPM136、ピアノ、ベース、ドラムスで。
さて、この曲もまた、先月投稿の「YOU ARE ALWAYS ON MY MIND」同様、転調の多さが魅力のひとつです。イントロと第1主題(‥‥というか、導入的主題?)は変ホ長調、第2主題がハ短調(=付く臨時記号は変ホ長調と同じ)、そしてサビ(‥‥というか第3主題のような)はト短調と、変幻自在。
転調とともに、コードの魅力も。なので、全編記してみます。
イントロは変ホ長調、
E♭|E♭|A♭m6|E♭|A♭m6|E♭ Ddim/B|E♭/B♭ F/A|A♭ B♭|E♭|E♭|
A♭m6は、単純にA♭mかと思われたのですが6を付けていい感じに。ここのキモ(=my favor)はF/Aです。リタルダンドの始まり、変ホ長調のドッペルドミナント! また、Ddim/Bも、鳴らしたい音の苦し紛れの組み合わせコード。静かな始まり、素晴らしい。
第1主題は、同じく変ホ長調で。これはイントロの続きという感じが。
E♭|E♭|A♭m6|A♭m6|Cm|Cm|Gm|Gm|
A♭|A♭m|Gm|C|Fm7|Fm7 B♭7|E♭|E♭ G|
ここもA♭m6の物悲しく幻想的な響きが。そしてA♭→A♭m→Gmと半音で降りてCがここのキモ。主調の3度下、並行調の長調化、お決まりですね。
第2主題、というより悲恋を唄った歌詞の内容から、むしろこれが第1主題のような気も。上記第1主題の最後、Gコードで見事に接続、ハ短調へ。
Cm|Cm|Fm|Fm|B♭|B♭|Adim A♭|Galt G|
Cm|Cm|Fm|Fm|G|G|Cm|Cm D|
Adim、Galtと、やたら苦し紛れのコードで鳴らしたい音を再現。Adimも、/Xの形でもうひとつドンピシャのハーモニーにしたいのですが‥‥。でも、キモはGです。メジャーコードなのにとびきりマイナーに聴こえる。
第3主題、ト短調です。忙しい。これがサビなのかな。少し違うような。前主題の最後、Dでの接続がまた見事。Dでいいのか、いやDしかないでしょう。
Gm|Gm|F|F|E♭|E♭|D|D|
Gm|Gm|F|F|E♭|D|Gm|
GからDまできれいな下降階段。ここも、F、E♭、Dがまるでマイナーコードの響き。不思議です。最後のGmの小節からピアノの高音アルペジオで始まる間奏部も絶妙に美しいのですが(ここまで作譜しました)、もう文章が長くなるためこの辺りで終わりに。
いやはや、隠れた名曲に違いありません。
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