タイムトラベルはやめましょう

以前記したように、そもそも時間は経過するものかどうかわからないと思われるのですが、ここでは普通に時間は経過して、過去・現在・未来がある(というのも雑な表現ですが)という前提で始めます。

まず過去へ戻る場合。

今、目の前の風景を録画しておいて、後で再生して見てみるとそこにはある種の「過去」があります。この記録装置を、例えば全宇宙の物理状態を記録できるような大掛かりなものにすれば、さらに「過去」に近付けられます。が、しかしそれを再生している時はやはり現在でしょう。

冗談はさておき本題に入ると、問題は、例えば前日とか1時間前のように自分が生きている時点に戻った場合、もう一人の自分(私)がいます(私その1、とします)。私その1からは、当然、世界が見え、聞こえ、考え‥‥していたわけですが、そこにやってきた私(私その2とします)からも(その同じ)世界が見え、聞こえ、考え‥‥ています。

これをどう考えるか。私その1の「見え」「聞こえ」「考え」と、私その2のそれとは別だとすると、端的に私その1は私とは別人ということに! しかし、私その1はかつて(タイムトラベル出発の前日 or 1時間前)は私本人だったのですが‥‥。

やむなく解決案を考えると、私その2は、私その1がいる世界にはいない(=上記の全宇宙記録装置の場合のように)というもの。

しかし、もう一つ、これが解決策になるかわかりませんが、私その2は私その1に降臨?したという場合。これだと、私その1の経験を私その2がそっくりなぞることになるので何の矛盾・違和感もありません? が、そうすると私その1の記憶も含め世界が(1日 or 1時間分だけ)2回繰り返すことになりますが、私その2はそのこと(繰り返し2回目だということや、本当は1日 or 1時間遅れている?こと))に気づきません。そのうち、1日 or 1時間が経過し、私その2はタイムトラベルに出発した時刻を迎え、再び?過去へ‥‥(以下同じ)

私その2(=私その3=私その4=‥‥)は永久にこの1日 or 1時間を繰り返すのです。ただしそう気付かないままで。この恐ろしいお話の教訓は‥‥タイムトラベルはやめましょう。

参考までに、自分が生まれる前の十分遠い過去ならどうか。このお話の前提では、すでに過去は決まっているのでそこに私その2の降臨場所はありません。


逆に未来へのトラベルはどうか。これはできそうです。しかし要注意なのは、たとえ1時間後( or 1分後でも)の世界で、私が生きている保証はないことです。未来に来てみたが、降臨すべき私(過去への場合と同様、私その1とします)はいなかった(死んでいた)では、やはり降臨先?が存在せず途方に暮れる? そんなことはありません。しがらみであった降臨先を制約する私その1がいないので、私その2は、唯一の?私としては自由に振舞えます。しかし、そもそも未来へのトラベル出発時点で私その2は世界から消滅してしまうので、降臨先の心配は無用です。

と、言いたいところですが、私その1以外にも、行った先の時点でその存在が保証されているものは何もありません。それどころか、地球や太陽やこの宇宙そのものがすでにない(=ビッグ・クランチ?)可能性も。


しかし、一番スッキリしていていいなと思われるのは、時間は存在しないというもの。つまり、過去は現在において想起されたもの、未来は現在において予期されたものなので、実は存在しない、よってそこへ赴くことはできない。というものです。

C5552's Ownd

語り得ぬものについては沈黙せざるを得ない

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