マクタガートと会計学
マクタガートによる時間のA系列とB系列の区別?について、すぐに思い浮かんだ類比は、会計学の損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)です。もちろんA系列がP/LでB系列がB/Sです。そうすると、P/LとB/Sが相補って企業活動を表すように、A系列とB系列が対立しているわけでなく相補って何かの活動を表していることになる。その何かとは時間である、と言いたいところですが、もう少し考えてみます。
P/Lはフロー、B/Sはストックなので、企業の日々の稼ぎぶりはもちろんP/Lに反映され、B/Sはある時点での企業の(財務)状態を表す。ここで、P/Lはある「期間」をベースにし、B/Sはある「時点」をベースにしたもの、言い換えれば前者はある「時間」において、後者はある「時刻」において、企業の状況を表している。さらに言えば前者はある「時刻」とその後のある「時刻」の間における(活動)状況を表していることに。
過去、現在、未来の区分において現在を「今」と考えると、その長さは瞬間ではなくある程度の幅を持ったもの(今日とか今年とか今世紀など)とすることができ、その幅(=時間)においての企業活動を考えれば、それはP/Lそのものになる。ここで、この「時間」の幅を極力縮めていくと、数学的にはある1点に収束(微分の考え方)するが、これはある「時刻」に収束するということでもある。するとそこ(=その時刻)において、極限での?P/Lが表される。が、またその時刻においてB/Sもまた表わすことができる。ある一時点(=時刻)でP/LとB/Sの両方が存在する? 前者は動的、後者は静的。この矛盾する2者が同じ時点(=時刻)に共存する。これがマクタガートのいう時間の矛盾ではなかろうか。
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